VUCAリモート実践Navi

リモートワークで失われる『公平感』を取り戻す:見えにくい貢献を可視化し、チームの納得感を高める実践アプローチ

Tags: リモートワーク, マネジメント, 公平性, 貢献, 評価

リモートワークにおける「公平感」という課題

リモートワークが常態化する中で、多くのマネージャーが直面している課題の一つに、チーム内の「公平感」の維持があります。オフィスに集まっていた頃は、日常的なコミュニケーションや立ち居振る舞い、困っている同僚を助ける様子など、数値化しにくい個々の「貢献」が自然とチーム内に伝わり、相互に認識されていました。しかし、リモート環境では、こうした偶発的・非公式な情報伝達が減少し、部下の活動や貢献が見えにくくなりがちです。

特に営業部門においては、個人の売上目標達成といった明確な数値成果と、チームへの貢献(ナレッジ共有、新人育成サポート、トラブル対応支援、社内連携への協力など)という、性質の異なる貢献が存在します。リモート下では、どうしても数値成果に目が向きやすくなり、見えにくい貢献が軽視されている、あるいは正当に評価されていない、といった認識が部下の中に生まれる可能性があります。

このような「不公平感」は、部下のモチベーション低下やエンゲージメントの希薄化を招き、最終的にはチーム全体の生産性や協力関係に悪影響を及ぼす可能性があります。マネージャーとしては、いかにしてリモート環境下でも、部下一人ひとりの貢献を適切に認識し、チーム全体の納得感を高めていくかが重要な課題となります。

なぜリモートワークで貢献が見えにくくなるのか

リモートワークが貢献の可視化を難しくする要因はいくつか考えられます。

これらの要因が複合的に作用することで、部下は「自分の努力や貢献が見てもらえていないのではないか」と感じ、不公平感を抱きやすくなるのです。

見えにくい貢献を可視化し、納得感を高める実践アプローチ

リモートワーク下でチームの公平感を維持し、部下の納得感を高めるためには、意図的な仕組みづくりとマネジメントの実践が不可欠です。以下に具体的なアプローチを提案します。

1. 評価基準の見直しと明確化

数値目標だけでなく、チームへの貢献を評価項目に明確に加えることが重要です。

2. コミュニケーションの意図的な設計

貢献を見える化するためには、コミュニケーションの場を工夫する必要があります。

3. 情報共有基盤の整備と活用

情報へのアクセス権や共有の仕組みを整えることも、機会の公平性や貢献の可視化につながります。

4. 成果以外の貢献に対する適切なフィードバックと承認

見えにくい貢献を認識した際には、具体的なフィードバックを行い、承認することが非常に重要です。

チームの納得感を高めるためのマネジメント

公平性の確保は、単にルールを設けるだけでなく、マネージャーの日常的な姿勢が大きく影響します。

まとめ

リモートワーク環境下でチームの「公平感」を維持し、部下一人ひとりの「見えにくい貢献」を可視化することは、容易なことではありません。しかし、これは部下のエンゲージメントを高め、チームワークを強化し、結果として組織全体の生産性向上に不可欠な取り組みです。

評価基準の見直し、コミュニケーションの意図的な設計、情報共有基盤の整備、そして何よりもマネージャー自身の継続的な関心と働きかけが求められます。まずは、これらのアプローチの中から一つでも取り組みやすいものを選び、実践してみてはいかがでしょうか。部下との対話を通じて、より良い方法を共に探求していく姿勢が、チームの信頼と納得感をより一層深めることにつながるでしょう。